歯を抜かない保存治療
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歯を抜かないための8つの治療法
どんな補綴物も天然の歯には敵いません。それだけに、歯を抜くか抜かないかという点は、歯科治療上、非常に重要な分岐点となるのです。当院では、患者さまの大切な歯をできるだけ抜かないで済むような保存的治療を優先して行っています。そのために実践している8つの治療法について解説します。
① 日本歯周病学会認定医による治療
当院では、日本歯周病学会の認定医となっている歯科医が歯周病の治療を担当します。そのため、比較的軽度の歯周病だけでなく、歯科麻酔を施し、歯肉をメスで切開する歯周外科の処置も得意としております。その他、エムドゲインに代表される歯周再生療法によって、失われた歯周組織の回復し、重症度の高い歯周病であっても、根治へと導いていきます。
② マイクロスコープ精密根管治療
保険診療における根管治療は、使える器具や薬剤、処置法などが限られているということもあって、再発率は80%以上にのぼります。そこで当院では、マイクロスコープによる精密根管治療を実施することによって、再発のリスクを下げ、ひいては抜歯のリスクも大きく減らすことが可能です。当院では5台完備しフル活用しています。
③ 根管治療時の徹底した感染防止対策
当院の根管治療は、感染防止対策も万全です。ラバーダムを活用することで、術野への唾液の漏出などを防ぎ、無菌状態で根管治療を進めていきます。その結果、不要な感染を防ぎ、結果的には抜歯のリスクも減らすことにつながります。
④ MTAによる歯髄保存
虫歯の治療中には、偶発的に歯の神経が露出(=露髄)してしまうことがあります。露髄したままにしておくと、歯の神経はあっという間に汚染されてしまうため、通常であれば水酸化カルシウムによる直接覆髄が行われます。けれども、この薬剤による歯髄の保護というのはあまり成功率が高くありません。そこで当院では、覆髄の効果が非常に高いMTAセメントを活用することで、神経の保存に努めています。
⑤ 歯根端切除術・再植も実施
歯根が破折したり、歯根の先端に病巣が生じると、一般の歯科医院では抜歯することがほとんどです。けれども、当院ではできるだけ抜歯を回避するために「歯根端切除術」や「歯の再植術」を実施します。病巣が生じている歯根の先端だけを切除したり、破折した歯を一度抜いて、歯科用ボンドで接着した後に再植したりすることで、抜歯という最後の手段を回避します。
⑥ 自分の歯の移植(自家歯牙移植)
歯を失った際には、インプラントやブリッジ、それから入れ歯などの補綴装置で喪失部位を補うのが一般的です。ただ、こうした装置はあくまで人工物であるため、天然の歯には劣ります。そこで川手歯科医院では、患者さまご自身の歯を別の部位から持ってきて移植することを提案しております。その多くは親知らずですので、移植後のトラブルも少なく、理想的な形で咬合を回復させることが可能です。
⑦ 根本的な治療
日本の歯科医院の多くでは、虫歯や歯周病といった口腔疾患に対して、対症療法が採られています。虫歯菌に侵された歯質を削り、歯周病菌による歯肉の炎症を抑えることは重要な処置です。けれども、歯科先進国であるヨーロッパでは、根本的な原因を除去する原因療法が主流となっています。その結果、ほとんどの国民が80歳で20本の歯を維持できているのです。ですので当院でも、患者さまの将来を考えて、原因療法に主軸を置いております。
⑧ エクストルージョンと外科的挺出
虫歯が歯茎の下まで進んでしまうと一般的には歯を抜かないといけません。無理に被せ物を作ってもすぐに外れてしまいます。しかし、「エクストルージョン」と言う部分矯正の一種を用いて歯茎の中から歯を引っ張り出すことで抜かずにすむ治療があります。
例えばイラストのように虫歯が進んだ場合
土台(青い部分)を作ると歯が一切見えていません。これでは被せ物を入れても土台に力がかかり歯がすぐに外れてしまい抜歯になります。
歯茎から歯が見えていれば力は自分の歯にかかり被せ物は長持ちします。この時、残っている歯は全周で高さ1mmが幅2mm以上残っていることが基準になります。
わずかな違いですが、非常に重要なポイントです。では虫歯が歯茎の下まで進んでしまった時には抜かないといけないのでしょうか?いえ、抜くことはありません。
「エクストルージョン」と言う部分矯正の一種を行うことで歯を抜かずにすみます。針金とゴムを使用し、歯茎の中から歯根を引っ張り被せ物をしていく治療方法です。
実際に川手良祐が治療したケースをご説明します。治療内容をホームページに載せることは患者さまの許可を得ています。
他院で抜歯してブリッジかインプラントと診断され治療相談に来られた患者さまです。エクストルージョンをすることで歯を抜かずに治療することにしました。
隣の歯に針金を固定します。歯根にはフックをかけてゴムの縮む力で歯根を引っ張ります。治療中は仮歯を入れるので見た目には支障ありません。歯茎も一緒に付いて引っ張られるために歯茎の形の調整も行っています。
エクストルージョンの終了後はグラスファイバーとレジンで土台を作り、綺麗な被せ物が入りました。
根管治療が不十分(根管充填材料が不足)でしたので再根管治療も行いました。もちろん隔壁やラバーダムを用いて治療を行っています。
治療の過程の写真です。
患者さまは抜歯せずに歯を入れることができたので非常に喜んでいました。歯を抜いてしまうと元には戻せません。
年齢・性別 | 47歳 女性 |
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治療費 | エクストルージョン治療 54,000円/税込(2018.8現在) |
治療期間 | 3ヵ月 |
治療回数 | 5回 |
リスク | 歯の状況により、治療中は磨きにくくなることもあります。治療前に十分な検査・診断が必要になります。 |
他院で抜歯と言われた歯をマイクロエンド・歯冠長延長術・歯根端切除術で抜かずに治した症例
他の歯科医院で「歯を抜かないといけない」と言われ来院した患者さまです。
当院では【抜かずに治療】を行いました。
右下に痛みがあり、5番目の歯の先に炎症(膿)を認めました。2ヶ所の歯科医院で再治療は不可能で抜歯と言われたようです。
治療方法の相談の結果、下記の①〜③で歯を残す治療を行うことにしました。
①マイクロエンド(精密根管治療)
②歯冠長延長術(クラウンレングスニング)
③歯根端切除術
術後も経過良好で患者さまも非常に喜んで頂けました。
ホームページの掲載に関しては患者さまから許可を得ています。
既存の歯を外して【隔壁】を作ります。周りからの感染防止です。マイクロスコープを用いてマイクロエンド(精密根管治療)を行いました。
治療直後に症状は消えたためにMTAセメントにて根管充填。
根尖病変に対して歯根端切除術、歯が少ない点については歯冠長延長術を行いました。術後、炎症もなく綺麗に治癒しています。
状態が安定したので歯を作る過程に移ります。
①支台歯形成(歯の形の調整)
②シェードテイキング(色を決めるたの見本を入れて写真撮影)
③綺麗なクラウンを装着しました。
術後も安定しており、歯を残すことができて歯科医院としても非常に嬉しいです。
歯のお悩みがあれば根管治療に限らずお気軽に川手歯科医院までご相談ください。
年齢・性別 | 50代、女性 |
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治療費 | 143,000円/税込(根管治療費)(2024.9現在) 93,500円/税込(歯冠長延長術)(2024.9現在) |
治療期間 | 2ヵ月 |
治療回数 | 5回 |
リスク | 根尖透過像(膿の影)が大きい場合や根管内で割れているがある場合、歯を残せない可能性もあります。 |
船橋の歯科で低侵襲な治療をご要望なら船橋駅3分の川手歯科医院
川手歯科医院では、可能な限り抜かない、削らないというコンセプトのもと、低侵襲な治療を実施しております。全ての症例で抜歯を回避することは困難ですが、船橋でこれほど侵襲性の低い歯科治療を提供しているところも珍しいです。ですので、歯を抜かずに残したいという方は、ぜひ一度、当院までご連絡ください。